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2023年11月号『良性発作性頭位めまい症と鍼灸治療』

「良性発作性頭位めまい症」は、[仰向けに寝ると天井が回る]、[頭を傾けるとグラグラ揺れる感じ]、[頭を動かさずにいると治るが,頭を動かすと再び目が回る]、症状を数分間繰り返します。吐き気を伴う方も少なくありません。

“耳石”が、何らかの原因で剥がれ落ち、平衡感覚に関わる三半規管の中に入り込んでしまうとめまいが起こります。
耳石とは耳の奥にある耳石器という場所にある、小さな砂粒のようなカルシウムの結晶です。原因は、頭部外傷による衝撃など、明らかな場合もありますが多くの場合、原因不明です。
高齢者や女性の方が発症しやすく、運動不足や加齢によるカルシウム不足やホルモンの影響などが関与していると考えられます。

西洋医学の治療では、症状を和らげるため、抗めまい薬、血液循環改善薬、吐き気止め、抗不安薬などの薬物療法を行います。
症状が改善しない場合には、頭位治療(浮遊耳石置換法)なども行います。耳石は内耳で再吸収されることで消失し、自然融解するため、症状は2-3週間で、自然治癒していく場合もありますが、何度も再発するケースもあります。

中国医学では、内耳の気血の巡りや、滋養状態が悪いと考え、発症原因を体質などから分析し、診断します。
漢方薬や鍼灸治療を用いて、それぞれのタイプ・体質に合った根本治療を行うことで、原因になった体質が改善され、再発しにくい状態にまで、しっかりと回復させます。

【中国医学では、大きく4つにタイプ分類】

  • ① 頭部への気血が消耗、栄養不足の『気血不足』タイプ
    疲れやすい、不眠、食欲がないなどが原因で気血不足で、頭部に栄養が届かない。
  • ② 交感神経が高ぶる『肝陽上亢』タイプ
    ストレスが多く休息不足が続くと、交感神経が高ぶり、過緊張を起こす。
  • ③ 身体に必要な陰液(潤い)が不足『腎陰虚』タイプ
    加齢やホルモンの低下で腎陰不足となり、内耳を滋陰できない。
  • ④ 水の巡りが滞る『痰濁中阻』タイプ
    水分代謝が悪く滞り、内耳全体に浮腫を起こす。

投稿者:tcm-editor

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